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<<第9回 Computer Virus>>










先週の火曜日、2月13日の朝、おそろしいヴァレンタインプレゼントを受け取ってしまった。

その日の朝はなんとなくすっきり目覚めることができず、ベッドから抜け出てコンピューターの電源を入れながらも頭のエンジンはまったくかからない。メイル送受信のボタンを押してから、コーヒーをいれにキッチンへ向かった。コーヒーカップを手に戻ってみると、いくつかメイルを受信している。大阪在住の友人マコと台湾人の友人Jeanからのメイルが一通ずつ、それにジャンクメイルが数通。久しぶりに来たJeanからのメイルはいつものように件名が文字化けしている。

このところのコナの曇り空のようにぼんやりした頭のままJeanのメイルを開くと、メッセージはなくて添付ファイルがひとつあっただけ。彼女はかわいいマルチーズを飼っていて、よくその写真を送ってくれる。今回もおそらく、真っ白でふわふわした無邪気なコイヌたちの写真を送ってきたのだろう、はやく見た〜い! と思ったのが運の尽き。

まず添付ファイルを開いたら、ウィンドウが出てきた。日本語で、この添付ファイルを見るには中国語から日本語に変換する以下のソフトウェアをダウンロードしなくてはならないとある。え〜っ、ダウンロード! 面倒だな。メッセージがない以上、Jeanに内容確認のメイルを出そうか。メイルを閉じようとしたところ、固まってしまった。ダウンロードのウィンドウだけ生きている(あとから思えばこれはきわめてtricky な技であった)。こうして水が高いところから低いところへ流れるがごとく、ぼうっとしていた私はむざむざと彼らの術中に陥ったわけである。久しぶりに来た台湾からのメイルだし、どうせこの霞がかかった頭をクリアにするには少し時間がかかるだろう。その間、中国語変換ソフトでもダウンロードしてみよう。と、なぜか思ってしまった。

ダウンロードOKのボタンを押すと、残り時間35分と出てくる。長い。まぁ、仕方ない。はたして35分後、このソフトウェアが実はコンピューターウィルス だったと判明! 最初はその事実をすぐに受け入れることができなかった。もともとメカに強くない私は普段からコンピューターに関することはすべて夫まかせ。彼自身、何度かウィルスの被害に遭っている。そのたびに、ひどいひとがいるものだとは思ったものの、実感がわかないでいた。

それがまさか自分が感染するなんて。マイクロソフトに問い合わせると、懇切丁寧に教えてくれたが、結局は感染している可能性が高いとのこと。ヴァレンタインだからか、この時期ウィルスが蔓延しているとも聞いた。スキャンにかけてみると、ものの見事にシステムぜ〜んぶ感染していた!

見込みがないとわかったら、諦めは早いほう。重要なデータだけコピーを作ってリカバリーをかけることにした。昨年末までのデータはコナに来る前にバックアップをとっていたので失うものはあまりないのだが、問題は写真。こちらで撮りためていた百数十枚という画像を落とすには時間がかかりすぎる。CDRWは持ってきていないし、すぐにもコンピューターを使ってしなければならない作業もあるし、画像を一枚一枚チェックして必要なものだけコピーする、なんて面倒なことはしたくない。この際すべての画像を捨てることに心を決めた。

箱を空っぽにすると、なんだか清々した気分になり、心もすっきり。今回のことは危機管理が甘かった私にとってよいレッスンになったし、コンピューターのおそうじができたというおまけもついてきた。Jeanには状況を説明したメイルを送ったが、まだ返事はない。おそらく彼女はなにも知らず、メイルは自動的に送られてきたのだろう。他人に迷惑をかけて大喜びしている輩がいるなんて、まったく理解に苦しむけれど、どんな出来事からも学ぶことはある、ということなのだろうか。

それでもやっぱり、ひとこといいたい。ウィルス作って喜んでいるくらいなら、その時間と知識とエネルギーをもっと生産的なことに使いなさ〜い!

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