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<<第19回 キラウェア火山>>










キラウェア火山(ヴォルケーノ)に来ています。ハワイ島といえばヴォルケーノといわれるほど。キラウェア火山はこの島のシンボルなのです。

キラウェア火山一帯は国立公園(ハワイ火山国立公園)になっています。キラウェアは活火山であり、現在も噴火は続いています。タイミングによっては東端のプウ・オー・オーから流れ出た溶岩が海に注ぎこむ珍しい光景を見ることもできるのです。

山頂の火山口、キラウェア・カルデラは周囲20kmほどの大きさですが、その縁に沿って道路が整備されており、車で気軽に一周することができます。途中には地面の裂け目から蒸気が噴き出る噴気孔や、ハレマウマウ火口とキラウェア・イキ火口、シダとオヒアの森、ラヴァチューブ(溶岩でできたトンネル)など多くの見所があります。

森林内はもちろん、カルデラの底を行くトレイルなど何種類ものコースがあり、ハイカーたちを楽しませてくれます。鳥のさえずりと風の音しか聞こえない場所を歩いていると、いつしか時空を超えた感覚に浸っている自分がいるのです。
今回は初めてヴォルケーノに一泊してみました。宿泊先は1846年の開業以来、マーク・トウェインやルーズベルト大統領も宿泊したという由緒あるヴォルケーノ・ハウス。このホテルは客室やレストランから壮大なクレーターを眺めることができる最高のロケーションに立っています。1874年から燃えつづけているというロビーの暖炉も有名。

居心地のいい部屋で一晩休んだ翌日は朝6時過ぎに起床しました。すでに太陽は昇っていますが、そこは山の上。大気はひんやりと涼やかで、上着が必要なほどの気温です。

火口を見下ろすと、低い気温のおかげで、クレーターのそこここから立ち上る蒸気が日中よりもはっきりと目に映ります。まさに地球の息吹を観察しているよう。圧倒的な光景に目を奪われました。

生まれたての太陽がカルデラの3分の2ほどを照らしだしていました。朝の空気は澄みわたり、真っ青な空には躍動感あふれる白い雲が描かれています。シダやオヒアの森からは深紅のトリたちが起きだして宙を舞い、聞こえてくるのはトリたちのさえずりだけ。あまりに雄大で静かな地球の呼吸を目の当たりにして畏怖の念さえ覚えました。

私はジープを運転し、カルデラの西側に位置するハレマウマウ火口へ向かいました。火山の女神ペレが住むといわれる火口の周囲には蒸気が立ちこめ、神秘的な雰囲気に包まれています。

火口の縁に立つ展望台から直径900m、深さ400メートルほどの大きな穴を見つめ、目を閉じてペレに感謝の祈りを捧げます。その瞬間、あたりに吹きつけていた北よりの風が一瞬リズムを変え、ハワイアンの歌が聞こえたような気がしました。次の瞬間には風の音に変わってしまったのですが、なんともいえない不思議な感覚があとに残りました。もしかしたら、ペレのマジックだったのでしょうか。

ちなみに、ヴォルケーノ付近には赤く美しいレフアの花や愛らしい野イチゴ、鮮やかなオレンジ色やペールピンクの蘭など自然の植物が多く自生していますが、無断で手折って女神ペレの怒りを買わないよう、くれぐれもご用心。

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