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<<第10回 Let’s Hula! >>










先日、初めてのフラダンスを経験した。友人がフラを習っているグループに、思いがけず体験入学させていただくことになったのだ。毎週木曜の夕方にレッスンをしているからいつでも見にきて、という言葉に誘われて行ってみた。場所はコナの中心にあるKona Inn のレストラン前のロビー。まるく取り囲む壁の上部には実物大の模型のブルーマーリン(カジキ)が飾られている。

到着すると、すでに子どもたちのレッスンが始まっていた。小学生から中学生ぐらいの子どもたちが十数人、音楽にあわせて腰をくねらせている。子どもとは思えないようなセクシーな動き。小さな子どもたちも懸命に腰をくねらせている姿はなんともかわいらしい。

子どもたちのフラを見学していると、友人がやってきて、このあとおとなのレッスンが始まるけれど、よかったらやってみない、ということになった。えー、突然、そんな。着ているものといえば、ジーンズだし(生徒たちはハワイアンの花柄で、膝が隠れるくらいのおそろいのフレアースカートを身に着けている)・・・。大丈夫、大丈夫。結局、威厳たっぷりだが、親しみやすいクムフラ(フラの先生)に紹介され、体験入学を許された。

すぐにレッスンが始まる。生徒の人数は二十人弱ほど。年齢層は十代後半から五十代くらいと幅広い。ステージ前方にクムが座っていて、それに向かい合う形で一列四人ぐらいずつ、四列ほどの形になる。最前列はアラカイ(alakai, リーダーの意)と呼ばれる上級者が占め、後方の列にいくほど経験の浅い生徒になっていく。もちろん私は最後尾。

クムの歌とウクレレを伴奏にダンスが始まった。なんの知識もない私はとにかく周囲の動きを見ながらみようみまねでやってみる。これが予想以上に難しい。それに見ているだけなら穏やかそうな動きのフラは、実際踊ってみると、その激しい運動量に驚かされる。

しだいに息があがり、汗がにじんでくる。けれどもしばらくすると、体が踊りを吸収し、頭で考えずとも、自動的に手や足や腰がリズムを刻むようになってくる。フラの動きはひとつひとつに意味があるという。クムの歌うハワイ語の歌詞にももちろん意味がある。フラを習うということは、昔からハワイアンに伝わる動きや歌詞の意味を学び、それをまた次の世代に伝えていくということなのだろう。意味を理解していれば、もっとなめらかに体が動くにちがいない。

とはいえ、アラカイたちでさえ、うっかり踊りを間違えてしまうこともある。するとすかさずクムの一喝が。「アラカイ、なにやってるの!」。このひとことでアラカイの列と二列目が入れ替わる。厳しい世界なのである。踊りをミスしなくても「スマイル、スマイル!」と注意が飛ぶ。最初は動きについていくのに必死だった私も、やがて笑顔がのぞく余裕がでてくるから不思議だ。

踊っていると、いつしか古代ハワイの砂浜で風に頬を撫でられ、海や太陽や椰子を体で表現しているような錯覚に陥っていく。とても懐かしい気持ち。忘れていた遠い昔の記憶を思い出させてくれるようだ。遥か遠い昔の記憶を。

二時間弱のレッスンが終わるころ、体はくたくたに疲れきっていたが、それはとても心地よい疲れだった。

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